「誰のためにバズらせる?」南三陸で #BuzzCamp を開催した理由

2018年6月6日、追記です。

南三陸ホテル観洋さんとの合同開催にて #Buzzcamp南三陸 第2回目を、今年も開催させていただくことになりました。6月23日、24日の週末2日間です。

昨年、生まれたものはいろいろとあります。でも、やりたいこと、やるべきことの「ほんの少し」しか出来なかったな、という思いもあります。

すべての取り組みは「ほんの少し」かもしれないですが、「ほんの少し」を続けることだけで、可能性はふくらんでいくんじゃないかと思っています。

もっとその場所と向き合って、もっとアイデアを具体的なものにして、継続可能なものにしていく。

今年は一部、一般公募もさせていただきます。応募フォームはこちら。ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。


こんばんは、塩谷舞です。今回は記事というよりも、記録のような、日記のようなものになります。

最初に断っておくと、私は子どもの頃から、母が私とふたりの姉にフルーツを切ってくれたときには、姉たちの顔色を伺うこともなく一番たくさん食べてしまうような人間でした。

だから、誰かのために何かをするとか、上澄みにすぎないのかもしれない。どれほど思いやったつもりでも、やっぱり自分以外の感覚はわからないので。

仕事も、お金にならない活動も、自分が楽しくて、自分が意義を感じて、自分がやりたいからやってる。それって、ぜんぶ自分の利益ですよ。結果として、喜んでくれる相手がいたら、万々歳なんですが。慈善事業と呼ばれるようなものを率先してやるような人間でもなく、ニーズがあるから、依頼されたから、結果が出せそうだからやる。


ツイッターを見ていた一部の方は、すでに知っているかもしれませんが。この週末、異常にたくさんの人を連れて、宮城県・南三陸まで行ってきました。#BuzzCamp という団体旅行の幹事でした。

 

団体行動が苦手で、飲み会中はトイレでツイッターに逃げてしまうような自分にとっては、人格がひっくり返ったような行動です。

前日、参加者のひとりであるモリジュンヤさんと別件で打ち合わせをしていたのですが「あの手のイベント、あなたが一番苦手でしょ?」と言われて。本当に苦手なんです。同じ空間にいる人たちがただ時間を潰すだけの会話や、興味のないものを見なければいけない拘束時間……。

 

でも、きっかけ、ってあるもんなんですね。

 

私はここmilieuで、3月11日にこんな記事をあげています。ヴァル研究所さん提供の、PR記事でした。これも「頼まれた仕事」でした。

 

この日、さんさん商店街がオープンする様子を仕事として取材にいったら、信じられない数のマスメディアが押し寄せていました。キー局はみんないました。新聞各社も、大手ネットメディアも。みんな、ものすごい装備で取材に来ていました。

Photo by Takako Iimoto

この反対側は、こうです。

Photo by Mai Shiotani

 

私は、フォトグラファーの飯本さんを引き連れて、たった2人のクルーで参戦。撮影場所の確保すらままならない。なんなら、スーツを着ていないために南三陸に住む人だと勘違いされて、カメラを向けられるばっかり。

マスメディアがあれだけ取り上げる内容を、こんな零細メディアで取り上げて何になる?

正直なところ、これが最初の感想でした。スピードでも、読者(視聴者)数でも、到底敵わない。「コスパ」「費用対効果」そして「適材適所」という言葉が大好きな私にとって、存在意義そのものを問われる仕事でした。もっと近しい世界の出来事をレビューしていたほうが、ずっと役にたつんじゃないか、と思わされました。身の程知らずな仕事を引き受けてしまった自分の浅い考えにも、後悔するほどでした。

書こうと思っても、全然進まない。これまで楽しいことばかりを選んで、浮かれて生きてきた自分にとって、震災の6年後の南三陸……というテーマはあまりにも重かったし、どこに気を使えばいいのかすらわからない。でも、取材した人たちの言葉を無駄にしちゃいけない。クラクラになりながらオフィスでひとり原稿を書いていると、涙が止まりませんでした。
話の内容にも、自分の無力さにも。

 

 

明け方にギリギリ書き上げた原稿を「本当にお忙しい中、申し訳ありません……」と、取材相手のみなさまにチェックをお願いしたんです。胃がよじれるほどに不安でした。自分の文章が、適切なのかどうか。事実として知っていても、やはり想像すら出来ない災害を経験された方々に、一体何がどう映るのか。そんな優しい想像力なんて育んでこなかったし、わからなかったし。

ただ、信じられないくらいに、喜んでくださった。もちろんリップサービスも含まれるのかもしれません。でも、電話の先では、確かに本音で話されているように聞こえる。

嘘でしょ? と思いました。だって、あれだけのマスメディアが彼ら、彼女らのことを報じて、何度もなんどもメディアに出て、芸能人だって政治家の方だって、たくさん、とにかく「影響力」を持った人は、たくさんあの場所を訪れているんです。

そんな景色を見てこられた方が、自分の拙い記事を喜んでくださって。

その後、この記事はそれなりに多くの人に、SNSを伝って読んでいただくことができました。いわゆる「バズ」りながら広まる様子に、マスメディアのそれとは違うなにかを感じられたそうです。

後日、取材をさせていただいた南三陸の女性が「インターネットで記事や想いを広める、塩谷さんの知見を、南三陸のみなさんに、どうか教えてあげてくれませんか?」と頼んできてくださったのです。みんな情報発信が必要なんです、と。

それが、南三陸ホテル観洋の女将さんである、阿部憲子さんです。

Photo by Takako Iimoto


私の書いた記事がバズっても、それはあくまで一過性の出来事です。ただ、伝えた知恵は、受け取る人の武器となるかもしれない。

支援だとか、ボランティアだとか、無頓着に生きてしまった自分だけども、インターネットにまつわる勉強会であれば、都内でも、地方でも、もう何度も開催しています。SNSの使い方、効果的なタイトルのつけ方、フォロワーの増やし方。そんなあざといハウツーばかりですが、それでも知識の有無による情報拡散の差は、大きなものです。

ぜひやりましょう、と返事をして。でも私ひとりの情報発信能力や知恵なんて、やっぱり微々たるものなんです。南三陸の方々は「スゴイ!」と言ってくださるけれども。私の記事は4万PVまで伸びたけど、Webメディアの最前線では、4万PVは「バズ」ではない。そして私は、自分よりももっと強い人たちを知ってる。

だから、せっかく行くなら、次なる「情報発信者」を増やしたい。アイデアマンも、増やしたい。本音を言うと、一人じゃ心細い、というのもありました。

 

あと。実際取材に行って、驚いたんです。南三陸の海の幸の瑞々しさ。味わったことのない、コリッコリのワカメの歯ごたえ。次々とホテルの窓際に遊びにきてくれるウミネコ。「被災地」として報道されていたその場所には、報道ではわからない宝物が、たくさんありました。行ってみなきゃ、わからなかった。

Photo by Takako Iimoto

 

「ぜひまた遊びに来てください。ここには、魅力的なものも、たくさんありますから」

と、女将さんが話してくれていた。観光でお金を使うことも、あの場所のためになるんだ、と。だから初参加のみんなにとっては、まずは、レジャーでいい。私のように、これまで被災地に足を運んでこなかった人が、まずは訪れてみて欲しい。

そうすると、美味しいウニはあるし、ウミネコは可愛いし。なんてったって、最高の宿があるし(温泉も、料理も、女将さんたちも!)。そして、情報発信能力や、事業を立ち上げる能力がある人たちであれば、必ずそこで「できること」が見えてきて、次に繋がるんじゃないか……そんなことを考えていました。

提供:南三陸ホテル観洋

提供:南三陸ホテル観洋


影響力のある人たちが、どうすれば東京から4時間かけて、忙しい中、1泊2日の旅行に来てくれるのか? 

それも仕事じゃなくて、自腹です。今後の可能性をちゃんと広げるためには、2人、3人じゃなくて、仙台からの送迎バスの定員である45人。キャパシティの限界まで集めたい。

自分は本当に情けない人間なので、「被災地支援に行きましょう」と呼びかけられると、簡単に挙手できない、と思いました。事後のアンケートでもこんな意見があったのですが、私もそっち側の人間だったからです。募金だけするのが最善、そう思っていました。

3.11の震災が起こったとき、当時僕は大学生でしたが、Twitterのタイムラインでは、要らない物資が大量に届いただとか、意識だけ高い学生がボランティアに来て迷惑だったとか、いろいろな情報が錯綜していました。だから、力にも自信がないしコミュニケーションも苦手な僕は、被災地には行かない方が被災地のためになると思って、募金だけして東京からそっと状況だけを見守っていました。だから、何となく今まで震災に向き合うことに後ろめたさを感じていましたし、今回この旅行を終えて、やっぱり、ちゃんと怖がらずに行っておけばよかったと後悔しました。

 

今回はまず、南三陸の方々に「インターネットの使い方、記事のバズらせ方」を講義するのが、最初の目的でした。ただ、記事で出来ることはやっぱり、限られています。

そこと少し接続しながらも、より大きな「バズ」を生み出す、トップクリエイターに話をしてもらうのはどうか? と考えました。

それも、ただただ一過性のものではなく、深く心に残ったり、しっかりと行動にうつしてもらえるような、意義あるバズです。私が知る中で、その道のカリスマだ、と思う3人にまず、相談しました。

佐藤ねじさん、眞鍋海里さん、梅田哲矢さんの3人。

眞鍋海里さん 代表作はこちら

梅田哲矢さん 代表作はこちら

ねじさんからは「俺、そこまでバズの人じゃないけど…」というご意見もありつつ、みんな講義をすることには速攻で快諾してくれました。

こうなれば心強い。自分が話を聴きたい人スリートップを誘ったので、きっと私と近しい人たちも彼らの話を聴きたいはず。しかもこのウニに、温泉もあるわけです。最強のコンテンツが揃っています。

 

そこから、招待をはじめました。SNSで数万人のフォロワーを持つインフルエンサーの人たち、新規事業を生み出せるスタートアップの人たち、アートや音楽に関わる人たち、フォトグラファー、漫画家、大企業の中で新規事業を手がける人、広告クリエイター、そしてコーヒー業界の著名人まで。

ここで1つ、私の大きなミスが…。1ヶ月前の声掛けだったので、きっと4人に1人くらいが参加してくれるのではと仮定して200名くらいの声掛けリストを作っていたのですが、メッセで声をかけていくと次々「絶対行く!」との、非常に前のめりなレス。

60名くらいに声を掛けたところで、定員が埋まってしまう状況に。あの人にも声をかけたかった……という人が、実はほかにも、140人くらいいました。ホテル観洋のWeb担当で、この企画を進めてくれた尾崎さんから「送迎バスは追加で出せますよ」とも言われましたが、ただ、100人以上の規模の合宿をまとめる自信もなかった。だから諦めました。ごめんなさい。

そしてあんまりクローズドに、内々で声を掛けた人だけで行く……というのもいやらしいし、いざSNSで情報が露出したときに内輪ノリだと呆れられてしまう、という懸念もありました。

ただ、公募するとどうなるか? きっと、参加するインフルエンサーたちの、ファンから応募があると思います。

もちろんそれはそれで良いことなのですが、これは仕事ではなく勉強合宿。プライベートです。「会いたかったです!」というファンからの熱視線を浴びてしまうと、やっぱり2日間、ファンをガッカリさせまいとサービス精神旺盛になってしまうはず。

でも今回は、誰が有名で誰が無名という話ではなく、修学旅行みたいにフラットに楽しんで欲しかったから、どうしても公募は出来ませんでした。公募してから参加者を選ぶ、ということも出来ませんでした。行きたかったのに……という方々、本当にごめんなさい。「内輪ノリじゃないか」という方々、おっしゃる通りです。次はもっと、良くできるように考えます。良い案があればぜひ、教えてください。

 


いざ、合宿当日。#BuzzCamp というハッシュタグを、多くのインフルエンサーが同時に使ってくれたことで、すぐさまツイッターのトレンドで1位になりました。

その上の広告枠を購入するには、1日420万円。これはかなりの広告効果です(ゲスい)。

でも、南三陸に住む方からこんな声が出たことが、広告効果以上に嬉しかったことでした。

 

とはいえ、ツイッターをやっていながら、ツイートしない人もいました。

南三陸で聞く話、そこに残る津波の爪痕は、誰しも気軽に掲載できることではありません。むしろ日頃ネットで盛大にバカなことをやって、何百万人の注目を集めているインフルエンサーからすれば、あまりにも日頃の情報発信内容とかけ離れてしまいます。

ただ、そんな男性数名が事後のアンケートで「すぐ言葉には出来なかったのですが、このタイミングであの場に参加できたことは、とても幸運なことでした」と、表には見せない文体で大真面目に綴ってくれていたことは、大きな価値だと思いました。

だって彼らには、エンタメの才能が抜群にあるんです。天才なんです。そんな人たちがあの2日間に何を感じたか? と思うと、今後彼らが描く世界が、なにか大きく変わる可能性があるような気がしてしまうんです。

 

語り部バスに乗って、ホテル観洋が震災後も保存している高野会館へ

ただ、災害のことをツイートするのは、数万人のフォロワーを抱える人たちにとっては、本当に繊細なこと。一方で、「想定外」と言われた津波の高さや、津波があったら「津波てんでんこ」という考えで逃げるべきだという話は、1人にでも多く伝えるべきこと。

勇気をもって情報発信してくれたインフルエンサーのみんなには頭が上がりません。実際にツイッター上では「関連のツイートを見ると胸が痛い」というご意見もいただいてしまいました。

 

この様子は、NHKのニュースでも報道されました

もちろん、目的はツイッターでのインプレッション獲得や、一時的なメディア露出だけではありません。

インフルエンサーではなく、スタートアップの経営者や、大企業の新規事業部の方、文化事業に携わる方々なども多く誘っていました。事業を立ち上げる能力、概念を覆す力がある方にも、来て欲しかったからです。

この場所で起こった事実と、そして食や景色や人などの魅力を知るほどに「また来なくちゃ」「一過性で終わらせちゃいけない」と、口々に話していました。

事後のアンケートで一番多かったことは「次回への改善案」で。それを見て、私はすこし少し気が楽になりました。


全体を通して言いたいことは、とにかく南三陸ホテル観洋のみなさまのバックアップ力がすごかったんですよ。スケジュールの遅延にも全力で対応してくれるし、きっと「Buzz」って言葉すら馴染みのなかったであろうみなさんが「BuzzCampの成功」に一生懸命になってくださっていて、しかも超楽しそうで。その姿だけでもう、涙が出そうでした。

プレゼンに喜ぶ女将さん

#BuzzCamp の成功にめちゃくちゃ尽力してくださった、ホテル観洋Web担当の尾崎さん

(尾崎さん、この日を本当に楽しみにしてくださっていたらしい…)

ぶっちゃけ、南三陸ホテル観洋のみなさまが「バズキャンプの皆さま!」と口にしながら笑顔で取り組んでくださる光景を見た時にはマジで生きてて良かったなと思ったし、「これまでの仕事の中で、最高です」と夕食中に、女将さんにポロッと話したときに、いよいよ涙が出そうだったけど、我慢しました。

参加した今井さんが私の幹事力がすごかった、だなんてnoteを書いてくださいましたが、それは本当に、ホテル観洋さんの力のおかげです……マジで。尾崎さん、みなさま、本当にありがとうございました。


1日目には、講師の3名による講義がありました。話す内容はそれぞれですが「バズった後に、どうするのか?」「そのバズは何のためなのか?」ということが、全体を通してのテーマだったように思います。詳しくは、こちらのTogetterにて。

ツアーに参加した人たちだけではなく、南三陸でパソコン教室を営むお姉さんや、ホテル観洋でPRを担当している方々も熱心に聴き入ってくださいました。

その後は、4人1組で南三陸に人を呼ぶ計画を考えよう……というアイデアソンも開催しました。

参加者もアイデアフルな人ばかりだったので、実際アイデアソンはもっと長くやるべきでした。詰め込みすぎました、すみません。でも、たった30分の時間で、社会派からエンタメまで信じられないくらい幅広い切り口で、みんながプレゼンをしてくれる姿は、「さすが私の惚れるスタープレーヤーたちだ!」という感じでした。ここでまた泣きそうでした。

 

全チームのプレゼンが終わったあとの審査会。審査員は、南三陸ホテル観洋のみなさんです。「この案も捨てがたい」「この案は実現可能性が高い…」と、支配人さんや女将さん、従業員の方々が審査してくださっている光景も、なんだか夢のようでした。

特別賞のチーム

準優勝チーム

優勝チーム。景品は参加者のみんなが持ち寄ってくれたもの多数!

 

ホテル観洋は本当に楽しくって。「クラブ」という名のガチなクラブもあるし、「宝島」というゲーセンもあるし、とんでもないウニは出てくるし…(これは特別のおもてなしだったそう…!)。

Photo by Takako Iimoto

私は2日間ずっと館内にいたのですが、本当に飽きない、最高の場所でした。

左にあるのは、サメの心臓だそう!


2日目は、ホテル観洋さんのご提案により、みんなは気仙沼ツアーへ。

 

楽しそう……。

一方私はホテルに、スタッフのナカノさんと2人で残り、10時半から15時半までずっと、地元の方々に「明日から使えるインターネットのハウツー」的な講義をさせてもらいました。東京でも、こんなに長時間セミナーしたことはなかった!しかも準備やら興奮やらで、連日2時間ぐらいしか眠れていなかったのですが、謎のアドレナリンで喋り続けました。

勉強会の参加者には、私をフォローしてくださっていた南三陸に住む若い方々もいたし、地元の商店を営むおじさんもいらっしゃったし。そして南三陸だけではなく、気仙沼からも、陸前高田からも、1、2時間かけて来てくださる方々もいました。

みなさん「こんな講義はめったにないから」とのことで。ただ、参加者の方々のITリテラシーはバラバラです。どこに焦点を合わせるべきか前半は迷ってしまったのですが、後半はなんとか取り戻せたか……?と思います。

詳しくはこちらのtogetterにて。ナカノさん、的確なtsudaりをありがとう!尾崎さん、トゥギャってくださってありがとうございます!

ふと口から出てしまう、コンバージョンだとか、KPIだとか、インプレッションだとかを後半は出来る限り封印して……。サムネイルのことを「看板」と呼んだのは、この日が初めてでした。

女将さんもノートにびっしりとメモを取ってくださっていて。少しでも、何かプラスになれば、本当に嬉しいのですが。参加してくださったみなさま、質問があれば随時メールでも受け付けておりますので…!!


気仙沼ツアーから帰ってきたみんなには、とても大きな学びがあったそうで……。事後のアンケートでは「リアス・アーク美術館で、言葉を失ってしまった」という声が並んでいました。

私は、このBuzzCampにみんなを誘う時、みんなで勉強合宿…というふうに提案していましたが、とはいえ、南三陸、そして気仙沼です。美味しい、楽しい、だけではありません。そこには、目を背けてはいけない災害があったし、今もまだ工事中……深い爪痕の残る町です。ですがその爪痕を知ることは同時に、未来の災害の被害を小さく留めることにも、つながります。

ホテル観洋の方々から、1日目は南三陸をめぐる「語り部バス」を、2日目は気仙沼で震災の跡地をめぐるツアーをご提案いただき、それは本当に、参加者の方々の胸に深く響いたようでした。ですが「バズ」というテーマで声をかけたばっかりに、心の準備をしていなかった方々には、ひどくびっくりさせてしまったかもしれません。

 

高い能力を持った人ばかりのツアーです。感受性は高く、想いはそれぞれ。ああすれば良かった、こうすれば良かった、という思いは尽きないですし、私自身が2度目の南三陸…ということから、1度目のみんなの心情を想像出来なかった自分には、かなり腹が立ちました。

東京のマンションに帰ってきて、日常に戻った瞬間に、緊張がほぐれて泣けてきちゃって。嬉しいのか、悲しいのかわからないのですが。


でも、やらないほうが良かったのか? と問うと、全力でやって良かった。

インフルエンサーやクリエイターを連れて被災地を訪れる、というのはジモコロの柿次郎さんが既に熊本で実行されていて、そこを先行事例として学ばせてもらった部分もとても大きいのですが。

今回 #BuzzCamp に参加したみんなが得たもの、そしてホテル観洋を中心とした、南三陸の人たちとの強いつながり。これは、本当にやったから出来た。それだけは、本当に良かったことだと言えます。

私は2日目の自分のセミナーを通して、もっとたくさんの方々と出会えたので、次はみんなも。次はみんなが先生になって欲しい。

そして、こういう取り組みをもし真似してくれる方がいれば……私よりも、もっともっと上手に運営できればいい。この私のタラタラとした反省文が、少しでも参考になれば嬉しい。


広告クリエイターは誰のために、その能力を使うのか?

今回参加した「バズ」が得意な広告クリエイターたち、情報発信者たち。きっと誰かの役に立ちたくて、今の仕事を始めたんだと思います。

高校時代からちょっとしたアイデアで、部活内の課題を解決したり、Webサイトを作ったおかげで感謝されたり。そんな嬉しい原体験が彼らを、課題解決の仕事に向かわせたんだと思います。

そして今回参加してくれた講師陣、そして参加者の多くが、若きトップランナーです。もちろんそうすると、単価がどんどん上がっていく。それは彼らがお金を欲しているというよりも、トップランナーが単価をあげないと、業界全体が健全な価格帯にならないからです。

ただその状況に立てば、出来ないことが増えていく。数千万以下の案件は受けられないとか、数十万以下で記事が書けないとか。この価格で受けちゃうと、他のクライアントに申し訳ない……とか。

誰かの役に立ちたくって始めたはずなのに、気づけば、潤沢な予算を持ったクライアントの商品訴求ばかりしている。もちろん、そこでの経済的、社会的意義は計り知れないものです。でも中には、「本当にやりたかったこと」から、半歩、また半歩と、ずれてしまっている人も、いるかもしれません。外から見たら順風満帆なトップクリエイターでも、気持ちの整理がついていない人も多いのかもしれません。

だからこそ今回、彼ら、彼女らは自分の穴を埋めるように、この企画を楽しんでくれたんじゃないのかな。手前味噌な仮説ですが…。アイデアソンのときには、本当にみんなが輝いてたんですよ。少なくとも私には、みんなの表情が「この機会、心から欲してたよ!」というように映っていて。

南三陸の若者がこのイベントをみて「戦隊モノの映画みたい!」と例えてくれていたけれども。この中の誰かが、本物のヒーローになれる希望みたいなものが、確かにそこにあったと思うんです。

 

Photo by Takako Iimoto

Photo by Takako Iimoto

最後の最後まで、全力でおもてなししてくださった女将さん、尾崎さん、ホテル観洋のみなさん。バスの中はみんな、涙だらけでした。


南三陸での2日間。非日常のようではあったけれども、東京や福岡や長野や大阪から参加したみんなの日常を変えるものになったのかもしれない。

 

 

そして何より、2日目の講義を通して、そしてみんなとのSNSでの毎日の関わりを通して……南三陸や、東北のみなさまの日常を少しでもアップデートできるような出来事になったら、それ以上のことはない。女将さんとは、Facebook で「共通の友人」もたくさん増えたしね。

そしてなんと。#BuzzCamp に触発されて、ツイッターを始めた女将さん。みなさま、ぜひフォローを!!

ホテル観洋のWeb担当尾崎さん。私も嬉しいです。帰ってきて3日経ったのに、まだまだ余韻が冷めません。

 

ま、湿っぽいこと言ったって、また行くんですけどね。慈善事業やボランティア…はやっぱりよくわからないけど、あくまでも自分がこれまでの仕事よりもずっと、やり甲斐を感じているので。ただ今度は疲れないように、みんなの力に頼りまくろうと思います。改善しましょう。よろしくです。

疲れ果てて、会場の端でウニを食らう私

 

最後に。ホテル観洋さんも、こんな素敵なブログを書いてくださいました。ありがとうございます。

クレジットのない写真はすべて @yansuKIM 撮影です。ありがとう!

Text by 塩谷舞(@ciotan

 

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