メディアを立ち上げた理由と、デザインまわりのことを少し詳しく話してみようかと
2017.02.12
こんにちは、塩谷舞(@ciotan)です。
milieuというこのメディア。プレスリリースも出さず、ローンチパーティーもせず、ひっそりと開始しようと思っていたのですが……こんな反響やこんな反響などがあり、初日はずっとびっくりしていました。
いろんなことを聞かれたので、ここで答えておこうかな……というのと、「Webデザインが素晴らしい!」という反応が多かったので(これは、本当に嬉しいこと!)、あらためてクリエイターの方々のコンセプトや制作実績なども紹介させてください。
デザインなどに興味がある方は、最初はすっとばしてもらえれば幸いです。
メディアの運営にまつわること
- 一人なのに、どうやって運営していくの?
基本的に「毎日更新」はしません。ニュースサイトはもう、世の中にたくさんあります。私が毎日愛用しているニュース系のサイトは、1日に何十記事も更新されていて、そのマンパワーにはとても敵わない……。
ここでは、1ヶ月に2、3本だけでもいいから、しっかりと自分が納得のいく記事を作って、そこから話題を生んでいけるようなメディアにしていきたいです。
かつ、“オピニオンメディア”と掲げる以上、記事一つひとつにしっかり自分の思想を入れていきたいけれども、その思想に自分自身が「胸焼け」しない頻度が月2、3本なんじゃないかな……とも思っています(笑)。
- ブログとは違うの?
小学5年生の頃からずっと日記サービス、ブログサービスのようなものは使い続けてきて、25歳からの3年間は、「ciotan blog」という個人ブログを主に更新していました。(更新頻度はとても低いですが…)
そこはあくまでも私の名前が上にくるプライベート空間でした。milieuは私の個人運営でありながら、他の方からの寄稿も受け付けるし、もうすこしパブリックな空間になります。将来的には、運営メンバーも増やしたり、展覧会を企画したりと、発展させていきたいと思っています。
寄稿してもらうのは、ライターなどの同業者の方……というよりも、研究者やアーティストなど、専門分野を持った方々に依頼しているところです。私とは全く別方面の知識を持った方々と一緒にやることで、面白い展開にならないかと想像してはドキドキしています。(ここで、小説家の方の連載をすることも一つの夢です…)
そして私がインタビューする人の多くが何かしらの物作りをしているクリエイターなのですが、彼ら・彼女らが「milieuにインタビューされることは嬉しい」「自分自身のキャリアアップに繋がる」…と思ってもらえるような、ブランド力を育てていきたいと思っています。
- もう外では書かないの?
基本、もうほかのWebメディアでは書きません。(たまに例外もあるかもしれませんが…。編集長をやっているTHE BAKE MAGAZINEは、これからも書きますよ! 一部の紙媒体でも書くかとは思います)外に寄稿させてもらったり、連載を持たせてもらうのも嬉しいけれども、やっぱりサイト自体が消えてしまったり、拡散のためのSNSボタンがなぜか動かなかったり(生命線)、感動したことをいますぐ公開したいのに、なかなかアップロードできなかったり。
前回書いたように、様々な色を演じ分けることに少し、疲れてしまったというのもあります。
あと。やっぱり外では「数字を出して欲しい」というご依頼がほとんどなので、全力で挑まなきゃいけない。ここmilieuでは「数字が出ないけどやりたいこと」「お金を生まないけど書きたいこと」にもどんどん挑戦していきたいです。そのほうがずっと、長く続けられる気がする。
- どうしてブログサービスを使わないの?
note、Medium、LINE BLOG、Ameba Ownd、Livedoor Blog、はてなブログ……と、列挙すればきりがないほど、世の中には便利なブログサービスがあって、ほとんどが無料だし、サーバーダウンもしないし、ずっとメリットが多かったりします。このmilieuはWordPressなので、ブログサービス…というか、ブログソフトウェアですが。ブログサービスで作るよりもお金も時間もかかったし、ランキング機能や「公式」からのレコメンド機能もないので、バズらない限りは、陸の孤島のような存在です。
ただ、今回はデザイナーさん、エンジニアさん、フォトグラファーさんにお見積もりをとって進めていきました。
ここ最近は、「デザインの力がどんどん弱くなっている」というようなことを、よく耳にします。
コンテンツやバズが優先されて、「リッチなデザイン」は求められなくなっていく。それは確かに、時代の流れかもしれない。(この記事で熱弁していることに、すごく近いですが)
でも、私はそれでも、デザインの素晴らしさを証明していきたい、と思っていました。
デザイナーが1pxレベルでデザインを調整すること、プログラマーが0.1秒レベルでモーションを調整することが、人の心理を豊かにしているはずなんです。ふと目にはいるサムネイルで、広がる空気がずいぶん変わっているはずなんです。
TOPページに派手な装飾をこしらえる時代ではないかもしれない。でも、記事を読むとき、その背後にうっすら目に入る色やグラフィックの存在感から、読んでいる最中の気持ちをデザインすることができるはずで。
今読んでもらっているこのページは、背景がうっすらグラデーションしているのですが、それが思った以上に好評で私はとても嬉しい。SNSの反響を見ていても、その多くが「デザインが良い!」「心地よい!」という声でした。(うれしい……)
ということで、ここからデザインの話になります
milieuのロゴデザイン、Webデザインをしてくれたのは、MÉMの前田健治さん。大阪在住です。
実はロゴデザイン、決まるまでになかなかの紆余曲折が……。ご本人のご許可をいただき、最初に作っていただいたものから全てご紹介させてもらいます。
アートやデザインや演劇、音楽など、様々なクリエイティブシーンを伝えるメディア……ということや、目指したいメディアの将来像、そして私の書く記事などをお伝えし、はじめは「有形でもあり、無形でもある」というテーマを軸に作っていただきました。
でも、(ただでさえmilieuって読みにくいフランス語なので……)アルファベットとしての可読性は担保したいし、もう少しクラシックな、大人びた印象も強めたいということで、第二弾のご提案をいただきました。
どれも可愛くって好き……!だったのですが、少しサブカル的な印象が強いのでもうすこしエレガンスに……ということで第三弾のこちらに。(注文が多くて申し訳ありませんでした…)
こちらの、最後のロゴを微調整していく形で、現在のロゴが完成しました。
前田さんからもコメントをいただきました!
WEBデザインにおいては、本人の話を聞いていると、個人やクリエイティブシーンの思考に潜る印象が強かったので、ページを閲覧しながらもどこかに潜り進んでいくようなグラデーションの使い方やデザインにしています。
(MÉM 前田健治)
Webデザインのもととなるワイヤーフレームは私が引いたのですが、トップページはこんな感じ。
あえて見せびらかすようなものでもないのですが……前職でWebディレクターをやっていたので、もう3年前の知識で危険だなぁと思いつつ、久々のWebディレクション業でした。書き手目線になるので、あまり突飛なことはせずに、とにかく記事が読みやすいこと、拡散経路を確保することと、フォローしてもらえる導線を逃さないようにすること……といった、比較的手堅い構成になっているかと思います。
(前職ではワイヤーフレームの作成にCacooを使うのが主流でしたが、今回は共有する相手も少ないのでPower Pointで制作しました)
そこからデザインを組んでもらい、正直最初は「少し地味かなぁ……」と思っていたのですが、プログラマーの江見政亮さんの神仕事によって、全てが美しくハマッた瞬間には驚きました。
良いWebデザインって、コーディングしたやつがあがってきたときに、ハマったーーー!ってなるよね。
デザイナーは最初からモーションまで計算して作ってるんだよね、
だからWebデザインデータをJPEGで印刷して「ここの余白埋めてください」とか言うのはやめようね動くからね…
— 塩谷 舞(mai shiotani) (@ciotan) 2017年1月5日
江見さんは1→10ご出身で、京都在住のプログラマーということで、こちらのサイトなども手がけられたそうです。
- 神勝寺 禅と庭のミュージアム
http://szmg.jp/
Direction & Design : 綿村健/Takeshi Watamura (ovaqe inc.) - NSSG
http://nssg.jp/
Direction & Design : 町田 宗弘/Munehiro Machida (NSSG Inc.) - Tiara inc.
http://tiara-inc.jp/
Direction : 町田 宗弘/Munehiro Machida (NSSG Inc.)
Design : 野崎菜々/Nana Nozaki (NSSG Inc.)
と、そうして枠組みが出来上がり、そこに写真を入れていきます。
こちらの写真は、フォトグラファーの金 洋秀(キム ヤンス)君から提供してもらったもの。猪苗代湖(いなわしろこ)という、福島県にある湖だそうです。ヤンスは関西人ですが、東京在住の24歳です。
みりゅーのトップの写真は一年ほど前に福島へ行ったときのもの。ゲストハウスのオーナーさんに連れられて訪れた湖。日の出のすこし前から日が昇るまでの間、写真を撮りました。猪苗代湖へは暖かくなったら、また遊びにゆきますhttps://t.co/r92z0oOaLK pic.twitter.com/U5gAm0Otth
— yansuKIM (@yansukim) 2017年2月1日
年末、彼のInstagramをたまたま見つけて、そこに並んだあらゆるものを浄化するような写真を見て「お仕事お願い出来ないですかね…」とDMさせていただき、ポートレートを撮影してもらったり、写真を提供してもらったり。フットワークがものすごく軽くて、本当に色々とお世話になりました。
最初の打ち合わせで、既に出来上がっているWebデザインを見てもらったところ、写真のイメージも掴んでいただき。寝不足でコンディション最悪だったのですが、見事に浄化していただき恐縮の極みでした……。撮影場所は渋谷から歩いて10分、神泉にあるhanareです。
子どもの頃からずっとインターネットに浸って生きてきたのですが、2016年はインターネットがあまり、居心地の良いものではありませんでした。もう辞めたい、見たくない……と思うこともあったけど、それよりもこの世界で、もっと良い空間を作っていけないものかと悶々としていました。
その一つの解決がmilieuの立ち上げだったのですが。「インターネットばかりやっていても世界は変えられないよ」と言われることもあるけれども。私は、自分の足で、目で、頭で掴んだものをちゃんと言葉にして、それをインターネットの力で最大限届けたいし、それで誰かの人生を少し面白い方向に変えられるかもしれない、という非常に自惚れた考えを持っています。
だからマイペースにはなるけども、ちゃんとやっていこうと思います。
と、もう十分に長くなってしまったのですが……こんな話の続きは、2月20日の夜20時から、下北沢のB&Bでお話しすることになりそうです。博報堂ケトルの安倍さんから「ローンチパーティーも兼ねて開催しましょう!」とご提案いただき、自分ひとりでは叶わなかったインターネットを超えたメディアの軸のようなものを、そこで見つけられればなぁ、と思っています。
告知はおそらく今日の夕方か、明日に出るはず。キャパは少ないので、こんなニッチな話が気になるぞという物好きな方は、私のLINE@を見張っておいてもらうのが一番かもしれません。友達検索で『@riu6519m』と入れるとでてきます。アットマークをお忘れなきよう……。
では、最後にあらためてクレジットを入れておきます。皆様本当にありがとうございました!Webの出来栄えに負けないように、がんばりますー。
Designer : Kenji Maeda(MÉM)
Programmer : Masayuki Emi
Photographer : yansuKIM
Text by 塩谷舞(@ciotan)