アート業界からやってきて、WEBで広告とコンテンツを作っていて思うこと

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※この記事は2014/04/29にnoteに投稿したものを一部修正し、転載したものです。

WEBクリエイションは誰のために?

こんにちは、塩谷舞(@ciotan)です。

先日、同業の友人と喋ってて「表現性の高いWebって、ユーザーのためじゃなくって、作り手が楽しいから作ってるじゃないのかな?」という意見が出て。一部同意なんだけど、それだけでもないよなぁと思った、そのあたりの思考をまとめます。


Web業界で働いてると、「数年前のFlash全盛期の感じ」というワードをよく耳にするし、使います。「Flash全盛期みたいな感じのかっこいいサイト、やっぱりつくりたいんですよねー」とか「Flash全盛期みたいなサイトはもういらないよー見にくいし」とか、両方。

もちろんご存知の通り、みんなの手のひらの中にあるiOSがFlashを拒否ってるために、ここ数年で「Flashをバリバリ使った表現性の豊かなサイト」はどんどん少なくなって、スマホファーストや、コンテンツ・イズ・キング、UI・UXなどが提唱されまくっている流れな訳で。

中学生の頃だったか、マジョリカ・マジョルカの飛び出す絵本のようなFlashサイトに激しく心打たれた自分としては、その衰退は寂しくもある。

でもそれってWebに限らず、どこでも一緒な話だと。建築も、車も、ファッションも、時代を遡る程に装飾的で、作り手の思いというか、美的な執着というか、嗜好品としての表現性が強い。それが商業化に比例してどんどんフラットにシンプルになっていく。

Webはそのスピードが、とても速いんだろうな。ユーザーが爆増するものだから、あっというまに「飾るもの」から「使うもの」になっている、今まさに。UIデザイナーが、AIが産み出したインターフェイスが、良いとわかれば一気に浸透していく。課金のため、ユーザー囲い込みのため、コンバージョンのため……。

さらに、ソーシャルメディアからの評判でも、解析ツールを使った数値でも、UIの「使いやすい」「使いにくい」が一目瞭然。だからまた改訂する。また検証結果が出る。やりだすとキリがないから、気にしすぎるとハゲる。胃に穴あく。寝れない。でも、「接客」も「笑顔」も出来ないモニターごしの世界では、UIを磨き上げることや、言葉尻を少しだけ変えることなんかが、相手への「笑顔」でもあるんだよなぁ。きっと。思いやり、とも言える。

で、そんな時流の中で、やっぱりFlash時代のかっこいいクリエイティブに夢を抱いてこの世界に飛び込んだ人は「あれ?俺らのニーズ、減ってね?」っていう虚無感とか、少しあるのかもしれない。「最近来る仕事、なんだか昔と違うくね?」みたいな。Web業界全体としてはぐんぐん成長してて面白いんだけど、最大公約数を取りすぎて、どんどんフラット化して、平均化されていく。

もちろん、今も表現性最優先なものもしっかり生み出されているし、本当に一流の表現を生み出す会社は、この時代にもすごく強いなぁと……。(↓下記サイト、その表現性に感動……。)

 


ただやっぱり、コンテンツ・イズ・キングな時代。オウンドメディア戦国時代に、中身ばかり詰め込んだサイトがめちゃくちゃめちゃくちゃ増えた中で、それでも表現で全力勝負したら、強いじゃない。カッコイイじゃないですか。

私は完全にユーザー的視点の強いWebディレクターだと思うし(※2014年当時)、得意分野はビジュアル表現より、コンテンツ寄り。それでも、ビジュアル表現をする能力がある人たちが、ユーザー視点になりすぎて、似たようなものを量産するのはなんだかなぁって。ちょっと悲しい。だって、みんな似てくるし、UIが。コンテンツのタイトルも、絵に描いたように、似てくるし。建て売り住宅ばっかり、みたいになっちゃったら、そんなこの世界は面白くない。

(脱線するけど、先日Lettersの野間さんとお話したときは、この「UI」の考え方が高次元で、ストン、と落ちてきた。「視線」の流れを最大限に考え尽くしているWebサイトは、どれだけオリジナルなUIであっても、接しやすくて、うつくしい…。)


美大卒で、アート贔屓な人間なので、アートとWeb表現の違いや、似てるところがすごく気になってしまうのですが。

いつの時代もアートはたくさんのパトロンに支えられて、ときに権力や財力を示す象徴として、時代や能力の限界越えを繰り返し、その歴史を築いてきた。

だから、一時代前のWebは、限りなくその位置に近かったんだろうな。企業はパトロン、PCが絵筆。でも、「みんなが使うもの」としてのWebになってきたときに、またそこからは遠ざかった。「メディアアート」と「Webサイト」の間、縮まったり広がったりしてるけど、いまはとても、広がってる気がする。

コンテンツは超重要、お料理レシピも、商品の口コミも、疲れたのときの対処法も、日常に不可欠。でも、コンテンツブームに乗って、技術や表現が前進しにくい世界になっちゃう……というのは、もったいないし、長い目線で見るとヤバいかもしれない。

美術史でも、「この時代には後世に残る代表的な作品はありません」という時代って、大概美術以外の他の分野が強いんだよね。

広告代理店の方、メーカーの宣伝ご担当者様、聞こえますか。見て…ますか……。Webサイトって作り上げるのは結構大変なのですが、でもきっと、CM予算よりはずいぶんエコなんです。そして、表現力はあるのにその力持て余してるクリエイターが今、そこここに潜伏してるはずなのですよ。さらに、SNSやニュースアプリから毎日毎日配信されるコンテンツに見慣れたユーザーもきっと、なにか別の刺激を求めてる。

私がこれ書いてどうこうって話じゃないんだけども、文字コンテンツにばかり予算を回すのは好きじゃない!(個人的には文字コンテンツの人間なのでお前が言うな論ですが)

Windows95に触れた10歳の頃から、インターネットが、そこにある表現が大好きだから。インターネットの世界の「話題作」が減るのはつまんないなぁと思っちゃって。ワクワクモニターを見つめてたあの頃みたいに、感性としてその先の「あなた」をワクワクさせられたらもっといいのに。という気持ちで、未熟者の書きなぐり。いや、個人的に視野を保っておきたかっただけなのかも知れない……けれども。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


※この記事は2014/04/29にnoteに投稿したものを一部修正し、転載したものです。

 

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